体質別薬膳 「陰虚」・「痰湿」

中医薬膳の基本

人間の体を調和がとれた状態にするには、体を構成する「気・血・水」の状態が調和していることが挙げられます。調和とは過不足なく、しっかりと巡っていること。ここでは「気・血・水」の状態で8つのタイプに分け、そのうちの「水」の不調について解説しています。

 

「陰虚」って何?

 

陰虚とは水が「虚」している、つまり足りないことです。中医学では水は津液と言います。津液とは涙や汗、唾液、リンパ液、髄液など体液全般を指します。「陰」という呼び方をする(「気・血・水」参照)ときは津液の他に血液や精を含む体液のことを指します。津液と血液は関係が深く、津液が減るときは「陰」が充実していないことを指します。

ここでは「陰」が虚した状態を説明していきます。陰は体を潤し養うための養分を持ちながら体の中を巡っています。陰虚はそれらが不足して、体が乾燥して熱を持ってきます。

体液の減少で乾燥すれば、肌や毛髪につやがなくなったり便秘になったり、尿量が減ったりします。適度な潤いは、動き続ける各臓腑・器官をクールダウンさせるため不足すれば熱感、のぼせなどを感じることもあります。煮詰まったように、尿の色が濃くなったりもします。

陰虚があることによって、体内を巡る血液が減り、熱を持ちやすい性質から更に血液を消耗し、量・質ともに低下した血液から滞りが生まれ、陰虚⇒血瘀を招く場合もあります。

薬膳では水を補う食薬と余分な熱を冷ます食薬を使い、状態を改善します。

 

「痰湿」って何?

 

痰湿とは、水が滞った状態になっていることです。循環がうまくいっていると水は体内で生じ、利用した後は、汗や尿や便になって排出されます。水が停滞してしまうと水湿となり、そこに様々な邪気やストレスなど外的要因や内的要因が重なってくると「痰飲」という病的な物質が生じてしまいます。それによって引き起こされる汗をかきやすい、痰が多い、めまいがある状態を痰湿と言います。

痰湿には、余分な水分を取り除いたり、痰や咳などの肺症状がある場合には、その改善をはかったりします。痰湿の元は気虚であることから気を補い、巡らせたり、痰飲が熱を持った場合には熱を冷ますことも必要になります。

 

まとめ

 

 

水は体中を巡り、栄養を体中に届けてくれる重要な物質です。しっかり補充し、滞ってしまわないよう巡らせることが大切です。陰の不足や過度の痰湿は熱を持ちやすくなります。日々、自分の体に目を向けバランスを取り、中庸を目指しましょう。

薬膳や漢方のように、食薬の力で状態を改善させることもできますが、まずは、食べたものをしっかりと消化吸収し活用できるように、よく噛んで食べることも大切です。巡りの改善には運動も良いでしょう。

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