保存版!夏の養生の基本

中医薬膳では自然界の陰陽に合わせて心身を整えていくための知恵があります。ここでは、夏の心身の状態や養生について解説していきます。
夏はいつからいつまで?
夏は暑く、春に生じた万物が勢いよく活動していくイメージです。中医学では二十四節気を基に陰陽の消長(バランス)で考えていきますが、夏は5月5日の立夏から夏至をはさみ、8月6日頃の大暑の時季までを指します。この時、梅雨の時季もはさみますが、梅雨は湿度も高く、夏とはまた違った養生をしなくてはなりません。(詳しくは梅雨の薬膳をご覧下さい。)
夏のキーワードは熱い・炎熱・活動・明快
春になり、植物が芽を出し、冬眠していた動物が目を覚ましました。夏は、そんな動植物が活発に活動していく時期になります。
自然界の陽気(陽気の説明はこちら⇒陰陽五行説)は春に増して生長し、陰気が少なくなっていきます。それに伴って動植物もますます活動的になっていきます。そして、陽気のピークである夏至を迎えていきます。
その後は、次第に陽気が下がり陰気が上がっていくのですが、実際の暑さは秋の初めまで続きます。この時期が持つ炎熱の作用により、冷えが原因の慢性病にはこの時期に直すと良いとされています(冬病夏治と言います)。
一方暑い日中には、汗が大量に出て、同時に身体のビタミン・ミネラルが大量に消耗されます。熱中症にはくれぐれも注意しましょう。身体に熱をこもらせないようにする食材を摂って、体の陰の成分(血液や体液)を補うと良いでしょう。クーラーなどが普及して、夏でも冷える場合があります。衣服の調整や体を冷やすもの、冷たいものを食べ過ぎない注意も必要です。冷たいものの食べ過ぎは脾胃を傷めます。食欲がなくなったり、夏バテになってしまったりするので気をつけましょう。
5月に入り立夏のその日から急激に食事を変えなさいというわけではありません。上がっている陽気と心身を食材や調理法を工夫しながら、リンクさせていくことが大切です。気候を肌で感じ、自然の変化に目を止めながら、丁寧に過ごしていくと良いでしょう。
夏の養生①~気血水と五臓六腑~
薬膳では夏に活発になる「心」の養生が大切です。心臓は常にずっと動き続けています。休まず回り続けているモーターと同じです。そのため熱を持ちやすい特性を持っています。また季節柄、暑さが厳しくなれば身体に熱もこもりやすくなります。心の働きは血脈や意識や精神(こころ)の状態も関係しています。
夏は心の気を傷めることが多いので心気を補い、暑熱で消耗しがちな水(津液)を補うものを食べましょう。体に熱がこもらないように、冷えのない人は適度に体の熱を取る食材を摂取することも必要です。
夏の薬膳レシピ・夏の食材一覧
夏の養生②~陰陽五行説~
陰陽五行説では、夏は「心」の他に「舌」「汗」「脈」「喜」「赤」「苦」などに関係が深いとあります。
例えば暑い時「汗」をかきます。体に暑熱があれば「脈」が速くなったり「舌」も「赤」くなったりします。適度な喜びは良いものの、過度に「喜」ぶのは心気を消耗し心神を不安にします。これらは暑熱のケアや心の養生をすることでコントロールすることもできます。
また、旬の「赤」いトマトやすいかなどを取り入れると良いでしょう。冷えが気にならない場合は、きゅうりやなすなど体を冷やす旬の野菜を多めに取り入れることで身体が整います。「苦」味は心気に通じますが、体質が虚弱だったり冷えがある場合には控えた方が良い場合があります。本格的な暑さを迎える前に、夏バテ予防として胃腸を調えておくことも大事です。
まとめ
夏は体も良く動き活動しやすい時でもありますが、暑さや水(津液)の消耗が気がかり。これらに気を付ければとても過ごしやすくなります。
そして、現代だからこその不調もあります。冷蔵庫やクーラーなどの電化製品は便利ではありますが、人間の体はまだまだその温度差に対応しきれません。冷たいものの食べ過ぎやクーラーによる冷やしすぎが体に負担になる場合もあります。かといって、使ってはいけないというわけではありません。温度差をなるべく小さくすることを心がけていれば良いのです。
心身のあり方を知り自然界の陰陽とバランスをとっていきましょう。