保存版!春の養生の基本~中医薬膳編~

中医薬膳では自然界の陰陽に合わせて心身を整えていくための知恵があります。ここでは、春の心身の状態や養生について解説していきます。
春はいつからいつまで?
一般的な春は、植物が芽吹いたり花を咲かせたり、ぽかぽかと暖かくなった時期を指しますが、中医学では二十四節気を基に陰陽の消長(バランス)で考えていきます。
春は2月4日の立春から春分をはさみ、5月4日頃の穀雨の時季までを指します。
春のキーワードは目覚め・伸びる・生長・発散
冬の間、自然界の生物たちは春に向けて精気を貯蔵していました。
植物が春になったら芽を出したり、動物が冬眠から目覚めるのは自然界の陽気(陽気の説明はこちら⇒陰陽五行説)が春になり生長し、陰気が少なくなっているから。蓄えていた精気をもとにぐんぐんと上昇し、伸びて活動的になっていきます。
それは人間も同じです。心身が次第に目覚め活発になっていきます。その目覚め伸びるエネルギーを上手にコントロールし波に乗っていけると、過ごしやすい季節となります。
とはいっても、立春のその日から急激に食事を変えなさいというわけではありません。徐々に上がる陽気と心身を食材や調理法を工夫しながら、リンクさせていくことが大切です。春向きの同じ食材を使っても気温が寒い日は温かく調理し、暖かい日は冷たくして食しても良いわけです。
気候を肌で感じ、自然の変化に目を止めながら、丁寧に過ごしていくと良いでしょう。
ちなみにぐんぐんと伸びる陽気は春分を境に陰気を上回り、逆転する陰陽転化を迎えます。
春の養生①~気血水と五臓六腑~
薬膳では春に活発になる「肝」の養生が大切です。人間の体を構成する大切な要素に「気・血・水」がありますが、「気」は体のエネルギー的な部分で、活力や体を邪気(病気)から守る免疫機能のことなどを言います。血は血液の事。体を営み養うための栄養を多く含みます。肝は気をよく巡らせ肝血を養うと良いとされています。
時に、肝の動きが大きすぎると関係のある脾胃に及ぶことがあります。また、食物を取り入れる脾胃を養い、体内に栄養をうまく取り入れることで生長のエネルギーを取り入れることもできるでしょう。肝の養生と同時に脾胃のケアをすることがおすすめです。
春の養生メニューはこちらを参照してください→春の薬膳レシピ・春の食材一覧
春の養生②~陰陽五行説~
陰陽五行説では、春は「肝」の他に「目」「涙」「筋」「怒」「青」「酸」に関係が深いとあります。例えば「目」が赤くなったり、しょぼしょぼして「涙」が出たり。「筋」がつりやすかったり、イライラ「怒」ってみたり。そんな症状が出やすい時期でもあります。
これらのケアは肝の養生をすることでコントロールすることもできます。
また、食に旬の「青」い野菜や旬の山菜などを多めに取り入れることで身体が整っていく場合もあります。「酸」味の使い方は身体に問題のない方は多めにとって大丈夫ですが、冷え症や体質が弱い人はとりすぎないようにしましょう。
まとめ
冬から春にかけては、様々な不調が出やすい時でもありますが、乗り切ることができればとても心地よい季節です。自然界の陰陽のバランスや心身のあり方を知っておくと、イライラするのは季節のせいかな、目がしょぼしょぼするのは春だからかな、と知ることができます。
ちょっとした不調の原因が季節の不具合だと知ると対処法も見当がつき、心も体もすっきりさせることができます。