蔵象学説②~心・小腸~

中医薬膳の基本
心の役割と働き
中医学では【心】は君主の官と呼ばれています。ずっと働き続けているモーターと同じで熱を持ちやすい性質があります。「火蔵」とも呼ばれます。
心気のことを「心火」「君火」と言ったりします。心の大きな働きは「血脈を司る」と「神志を司る」とされています。
心の血脈を司る働き
- 血を作る……血液を作る働きを指します。心火の作用で、血が生成されるとされています。心の状態が良いと豊富に血が生成されます。
- 脈管を司る……血が流れる脈管を司っています。脈管が良く保たれていると、血量が充実しよく流れ、体全体に営養を送ることができます。
- 血流を司る……血を流す力も心気の働きです。血があっても、脈管が良くても、血を流す力がないとスムーズに血液を体内に流すことはできません。
神志を司るとは?
- 生命活動……顔色や表情、目の輝きや手足の動きなどの反応など、体表に現れるもの。
- 精神や意識、思考の活動……これらをまとめて、神志と言います。これらを司る働きが心の働きでもあります。血脈を司る機能とも関係が深く、血脈が正常であれば、精神や意識も安定します。逆に、精神や意識が安定していれば血脈も充実しています。
小腸の役割と働き
小腸には、「受盛化物」、「泌清別濁」の作用があります。
- 受盛化物……胃で消化された食べ物を、受け入れさらに細かくするという意味です。
- 泌清別濁……消化された食べ物を、体が必要とする栄養分といらないものに分け、必要なものは吸収し脾へ送り、いらないものは大腸に送る働きを言います。
陰陽五行説と心・小腸
陰陽五行学説では心は「火」に属します。「火」は、「血脈」「顔(面色)」「舌」「汗」「喜」と関係が深いとされています。
全身の「血脈」は心(心臓)とつながっています。心(精神・思考)の状態によっても血脈は変化します。「顔(面色)」は多くの脈が通り、血がたくさん流れています。顔の血脈の状態が悪いと色も悪くなります。精神状態も表情に出ます。また、心は「舌」ともつながっていて、心が不調であれば、赤みを失ったり紫色になってしまったりします。味覚異常が起きることもあります。その他関係が深いのは「汗」。「汗血同源」ともいわれます。発汗が心の機能を反映することもあります。
中医学では感情も、分類されています。心に対応するのは「喜」。一見、良さそうなのですが、「喜び」も過ぎると、心身のゆるみ、集中力の低下、心悸、不眠などこころとからだを不安定な状態にしてしまいます。
附 心包……心の外側を覆う器官、心を保護する役割があり、心包経という独自の経を持ちます。
まとめ
以上が【心・小腸】の働きになります。その他の臓腑はこちらを参考にしてください。